目眩を覚えるような空。

見上げれば、そこにあるのは青い青い空。
どこまでも続く、果てしない青。
僕らがどんなに望んだって決して相容れない青。
あまりの広さと青さに呆然となって。
強い負の感情は全部空に吸い込まれていく。吸い取られていく。
だから悲しいとき、苦しいとき、辛いとき、泣きたいとき。
空を見ちゃいけない。
急に気持ちが消えて空っぽになるから。
泣きたいのに泣けないって辛いよね？

良い人はどうでもいい人、だってさ。
よく言われてるね。唄の歌詞だっけ？
そんなことはないよ。
ただね、良い人はみんなに良い人だからダメなんだ。
誰だって無意識のうちに誰かの特別になりたいと思ってるんだから。
優しくしてもらって嬉しくても、他の人にも優しかったらやっぱりそれだけって思っちゃうから。
「私」だから優しいんじゃなくて、誰であっても優しいのならそれはないのと同じ。
誰にでも優しいのなら、やっぱりちょっとした落胆はあるはず。
誰だって特別になりたいんだから。良い意味で。
独占欲ってやつ？
自分だけに優しくして欲しい、他の誰かには優しくしなくてもいいから、って。
他の誰も見ないでってことでしょ。
見て欲しくないのに、その上更に優しくしてたらやっぱり悔しいはず。
良い人は優しい。
優しい人は本当に優しい。
誰にでも優しい。誰かを見捨てるなんてできない。
だからどうでもいいわけじゃないけど、やっぱりそう言う意味で特別にはなりにくいんじゃないかな。
多分ね、優しい人は親友には欲しいけど恋人にはいらないタイプだと思うよ。
僕の勝手な憶測だけど。
大した人生経験もないけど。それでも思うよ。
優しい人は自分だけの人にならないから。
だからダメなんだと思う。
昔話でも、童話でもなんでも。
最後に幸せになるのは正直者。
誰にでも優しくて、みんなの言葉を信じた人。
だから幸せになれたらきっと誰よりも幸せになれると思う。
なれるまでが大変なだけで。
それにね、真っ直ぐな強さは誰もがうらやむよ。

人間はね、ちょっとくらいずるい方が楽に幸せになれるんだ。
それでも本当に優しい君らを僕は心から尊敬してる。
優しさがなくなったら人なんて簡単に死んでしまう。
簡単に滅びてしまうよ。
優しさがあるからみんな生きていける。
なくなったらみんな消えてしまうよ。
そんなの悲しすぎるね。
泣きたくなるくらい君たちは優しい。
優しすぎて自分の汚さがよくわかってしまうくらい。
だから、心からその幸せを願っています。