水の子供。

2002年8月18日
――ごぼり。

それは空気が動く音。
肺の中に取り残されていた、僅かな空気。
僕が生きるために必要だったもの。

それが僕の中から出ていった。
陸の匂いと、山の息吹を僕に残して。
消えてしまった、空気。

僕は水の子供。
僕は水に生きる者。
僕は水に滅ぶ者。

僕はここで生きるしかなくて。
僕はいつかここで死ぬしかなくて。

水面から顔を少しだけだして、
胸一杯に苦しいだけの呼吸をして、
そしてまた水の中に帰って行く。

そしてまた、あの音。

――ごぼり。

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