ワーウルフ。

2002年9月13日
月の光が眩しい。

しんと静まりかえった森の中に、銀色の光が染み渡る。
木々の影に身を潜めたのは、月の光を避けたかったのかもしれない。

人の心は小さな炎のようだと思う。
その炎が光に反応して、ゆらりと燃え上がる。
それはまるで、種火に油を注がれたかのように。

体の中の熱にくらくらしながら、冷たい大地に両手をつく。
何かに深く懺悔するかのように。
ひんやりとした大地が心地よく、吸い寄せられるように身を低くする。

土と、草の匂いを嗅いだ瞬間、何かがはじけ飛んだ。
自然に帰ろうと、体が、細胞が蠢くのが判る。
喉から漏れた声は言葉にならず、ただ低く唸るのみ。

愛しい大地に爪を立て、そして彼は月を見上げた。
美しい毛並みと鋭い牙を持った獣が、今夜も独り駈けていく。

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