紅い魔女。

2003年6月5日 魔女
人を殺した事を、罪だと感じなかった訳じゃない。
ただそれは、あたしがあたしであるために必要だっただけのこと。

呪いの言葉を呟くだけ。
心の底から願い、対象に向かって囁くだけ。

死んでしまって。

――衝撃。
それは胸を震わす激情のように甘く切ない痛み。

その魂が身体を離れ、空気に溶けていく様子まで見えてしまいそうで。
触れてさえいないのに、冷えた身体の感触が指先にまとわりつく。

ああ、これが罪の証。
これが、あたしが魔女である証。

抱えきれない罪を背負いながらも、あたしは生き続ける。
その罪に身体を押し潰され、心を砕かれるまで。
あたしは生き続ける。

赦しなど欲しくないのよ。
この罪だって、あたしを形作るものなのだから。

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