Let’s sell spring.

2003年7月31日
…あ、何? あたしのこと買ってくれるの?
ハイハイ。それじゃ、条件提示しまーす。
まず一つ目、ホテル代はそっち持ち。二つ目、避妊はきちんと。三つ目、あたしの話を聞いて。
んー…、話っていうのはね、まぁ、おしゃべり。トークよ。わかる?
あはは、馬鹿になんてしてないってば。
じゃあ、OKね。値段は適当に決めて。

さて、ちょっとお話して良いかな?
うん、そう。条件三つ目。そんなに長引かないと思うんだけど。

いいねぇ、おじさん。気前が。
年いくつ? ふぅん、それじゃ、ちょっとおにーさんとは呼べないね。
ああ、もう、怒らないでってば。
怒ってない? 大人だねぇ。

そうそう、話ね。
性的欲求について、かな。
あ、そういう顔しないでよ。嫌がらせじゃなくて、単純にあたしが疑問なんだから。

なんていうかさ、わかんないの。
性欲っていうのは本来妊娠、出産のためにあるんでしょ? つまりは繁栄のため。
あたしは子供は欲しくない。
でも男の人は欲しいんだ。
喉の奥よりももっとずっと深くて暗い部分が渇いてる。求めてる。
こういうのを快楽におぼれるって言うの?
でもそれって、本来の性欲から外れちゃってるってことだよね。

前にね、若い生物の先生に動物にも快感ってあるんですかって聞いたことがあるの。
先生、真っ赤になっちゃってた。初々しいってあんな感じのこと言うんだろね。
…ん? 結果はNOだって。
野生動物は常に狩るか狩られるかの立場にあるわけだから、生殖の為とは言え、そんなことにうつつを抜かしていられないんだってさ。

じゃあ、人間は?
人間は快感の為に、快楽を求める欲求を満たそうとして、セックスをする。
まぁ、愛情を確かめ合うって意味でも良いけどさ。
そういうカップルは子供が欲しいって思ってるかもしれないから、正当なのかもね。

問題はあたしとかおじさん、あなたよ。
子供なんて欲しくない。できちゃったら可哀想だしね。
だって、産める訳ないでしょ。あたし女子高生だし。
例え産めたとしたって、まわりから白い目で見られるのは確実。
第一、あたしには子供を育てる財産なんてこれっぽっちもない。
産まれても確実に苦労して、そうでなければ死んでしまう。
可哀想じゃない。

それなのにあたしの身体は誰かを求めてる。
からっぽな心に、太い釘を打ち付けてくれる誰かを捜してる。
何かを埋めたくて、欲しくて欲しくて欲しくてしょうがなくて。
こうやって夜の町をうろつく。

…あたし、動物に生まれたかったんだ。
生きるか死ぬかの瀬戸際で、快感も何もないセックス。
子孫を残すためだけの、他の理由なんて何もない、これ以上もなく純粋な交わり。
とてもキレイだと思わない?

さぁ、話はお終い。
何が言いたかったのかっていうとね、おじさんにも悩んで欲しいの。
生殖ではなく、快感を求める人間の不条理を。
あたしがどれだけ考えても、解けない糸の束に飛び込んで。

…ねぇ、電気、消して欲しいな。

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