暗闇の中に、銀色の光がほんのりと浮かび上がっている。
触れることなどできないが、それは不思議と微かな熱を帯びているような気がする。弱々しく、体温よりも低い、寂しげな微熱を。
そんな月の光の下で、香月はそっと瞼を下ろした。
夜特有のひんやりとした風が心地よい。涙が出るほどに。
月の神よ。
言葉には出さずに、心の中で祈りを込めて名を呼ぶ。銀の光の中で微笑む、優しく儚い、香月にとってたった一人の神。
星よりも明るく、太陽よりも闇に近い存在。暗がりの中でしか、輝きを持てない弱い神。
愛している。
裏切ってしまった神。愛情を受けるだけで、何一つ返すことができなかった月の神。
最早、愛の言葉を呟くことさえ、不敬なのかもしれない。けれど、愛しい。
それでも。
彼女が祈る神は、たった一つのみ。
触れることなどできないが、それは不思議と微かな熱を帯びているような気がする。弱々しく、体温よりも低い、寂しげな微熱を。
そんな月の光の下で、香月はそっと瞼を下ろした。
夜特有のひんやりとした風が心地よい。涙が出るほどに。
月の神よ。
言葉には出さずに、心の中で祈りを込めて名を呼ぶ。銀の光の中で微笑む、優しく儚い、香月にとってたった一人の神。
星よりも明るく、太陽よりも闇に近い存在。暗がりの中でしか、輝きを持てない弱い神。
愛している。
裏切ってしまった神。愛情を受けるだけで、何一つ返すことができなかった月の神。
最早、愛の言葉を呟くことさえ、不敬なのかもしれない。けれど、愛しい。
それでも。
彼女が祈る神は、たった一つのみ。
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