『浮遊病』

2004年2月27日
 ふわふわ、飛んでしまうの。

 病院の屋上で、彼女は静かにそう囁いた。

 ふわふわ、浮かんでいってしまうの。地面に立っていられないの。身体が勝手に浮かび上がってしまうの。

 ぼんやりと霞んだ空を見上げながら。

 ふわふわ、空へいってしまうの。此処にはもう、いられないの。

 どこか鮮烈な空へと、ダイブ。

 ふわふわ――。

 飛べるわけ、ないのに。

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