『I knew it』

2004年5月15日
 独りになって、すぐ、気づいた。
 左隣の空白の大きさにも、手探りで探してしまう体温の愛しさも、機械のように一定な浅い呼吸のもどかしさも。
 握り返してくれない指先の冷たさも、開かない瞳の奥の深淵の暗さも、声を作らない唇の堅さも。

 私の心に広がる、空白と空虚と朧に霞んだ痛みと苦しみと悲しさと愛しさと寂しさを。

 本当は知っていた。
 ただ目を逸らして、その周りを被いで囲って、漆喰を塗り重ねて、ひび割れた境目を更に塗り重ねた。
 傷口に砂糖を塗り込めるように。

 本当は、本当は、気づきたくなかっただけ。
 触れたら自分が壊れると、本能で察していたから、目を逸らして、隠しただけ。

 ゴメンね。
 本当は知っていたの。
 貴方を忘れようとしていて、ゴメンね。

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