『常夏』

2004年5月26日
 永遠に続く夏が、またやってくる。

 憂鬱にも似た感情が、胸の奥でもやもやと鎌首をもたげている。小さく吐き出した溜息は、まるで欠伸のようだった。やる気もなければ覇気もない。
 夏が近づくこの季節は、いつもこうだ。
 悲しいわけでも、辛いわけでもない。苦しいわけでもなければ、切なくなるわけでもない。ただ、何か、足りない部分をはっきりと自覚させられる。

 ねぇ、千夏。
 声に出さずに呟く。

 また、夏が来るよ。
 早く、帰っておいで。帰れないなら――

 青い空を見上げる。届かない青。染まらない紅。

 ――さよなら、しようよ。

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