『夕立』

2004年5月31日
 一台の自転車に二人乗りをした、夏の日。

 交代で漕ぎながら、暑い暑いと馬鹿みたいに声を張り上げた。大声なんて出さなくたって、すぐ側にいるんだから聞こえるのに。
 そのうち、急に雨が降り出した。
 夕立。お天気雨。
 真っ青な空の下で、ぽつぽつと粒の大きな雨が落ちてくる。そうして、アスファルトに染みを作っては、消えていく。冷たさの欠片もない、温い雨。
 私達は歓声を上げて、大きな声で笑いながら愚痴を言い合った。本当に嫌じゃないからこそ言える、言葉達。

 彼の雨の記憶は、今も私の中では鮮やかだけれど。
 後に残されたものと言えば、静寂によく似たあどけない生温さばかり。

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