『サマーデイズ』

2004年6月5日
 夏は不思議な季節だ。

 じっとりと湿った空気と、それにとけ込んだ汗の匂い。べとついた肌と、意味もなく張り上げた大声。木々の緑はあまりに色濃く、赤や黄色の花々ばかりが咲き誇る。
 雲一つない大空は青く、心とか気持ちとか感情とか、あやふやな存在を全て吸い込んでしまう。
 そして罫線を引くように、流れた白い飛行機雲。

 夏は不思議な季節だ。

 中学二年までの、楽しすぎる思い出。
 溶けかけたアイス。ラジオ体操。蝉の声。かき氷のシロップで染まった舌の色。雨の匂い。蜃気楼。シャツに透ける日焼けの跡。
 中学二年の、紅すぎる思い出。
 ブレーキ音。夕焼け。壊れたブロック塀。潰れた自転車。音。場面。欠片。私。鏡。
 中学三年からの、落ち着かない思い出。
 埋まらない空白。異性の肌。低い声。あやふやな気持ち。届かない指先。触れられない記憶。引きちぎりたくなったピアス。

 夏は不思議な季節。
 楽しすぎる思い出と、悲しすぎる記憶と、触れたくない幻と、夢にさえできない現実が入り交じった季節。
 でも、私の季節。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索