涙が零れた。
 けれど、他にどうすれば良かったのだろう。愛しい人の死を受け入れることはできた。
 けれど、だから何だというのだろう。
 受け入れることが出来たからと言って、悲しみがなくなるわけでもない。理不尽さばかりが募り、意味のない涙と嗚咽ばかりが延々と溢れ続ける。

 生暖かい余熱をかき抱き、おいおいと涙を流しながら、動かない唇に噛み付いた。
 食べてやる。全部食らってやる。お前なんか、貴方なんか。
 呟きながら、叫びながら、それでもやっぱり叫ぶだけ叫んだ。それだけ。

 好きだった。愛していた。
 失いたくなかった。全部欲しかった。
 だからもう一度だけ、口付けた。

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