『look back』

2004年8月5日
 貴方がいると錯覚したことなんて、一度だってないんだ。

 よく漫画とか小説とかであるよね。
 いつもはいたけど、もういない誰かに向かって、話を振ったり、返事を求めたりしちゃって。それで、ああ、もうアイツはいないんだって、ぽっかりと空いた隙間を感じるっていう奴。
 そうじゃなくても、誰かの分まで用意してしまう食事とか。まぁ、あるじゃん。たくさん。

 私はね、そういうこと、一度だってないんだ。
 あの子がいなくなってから、三年も経ったけど、今まで一度だって、あの子を求めて振り返ったことなんて、ないんだ。
 喉まで声が出かかったことなら、一度くらいあった気がするけど。それだって言葉に出すことはなかったよ。あ、とか、う、とか。そんな呻き声みたいな呟きになっただけ。
 そうして、あの子がいないってことを知ってるくせに、知らないフリをして逃げようとする脳みそとか、身体もやっと納得してくれた。もう、いないんだ。
 そしてそれが自然になった。

 隣にいるのが自然だったくせに、いなくなっても全然不自然じゃないってどういうこと?
 思ったのは、あの子はいないけど、私の心はあの子が持って行っちゃったからってこと。あの子の側に私の心はある。私の心のすぐ側にあの子の何かが存在してる。

 馬鹿みたいだなんて思わないけど。
 ステキとか綺麗だなんて、口が裂けても言えないよね。

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