『君が』

2004年9月11日
 繋いだ指先の温もりも、抱きしめた肩の骨の感触も、不意に香る君の匂いさえも、しっかり覚えているというのに。
 どうして、名前一つ思い出せないんだろう。

 君のことを覚えているのは、全部身体で、頭はほとんど何も覚えちゃいない。
 本能というか、無意識の意識というか、そういう部分で君を必要としていたのかも知れない。

 ふと、そう思った。

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