出来損ないのお芝居が、いつ終わるのか。
そんなことばかりが、どうしてか気になって仕方がない。
しばらく前、ナツの昔の彼氏の話を聞いた。
隣のクラスのバスケ部の子で、顔と名前は知っている程度の仲というか、別に知り合いでもなんでもなかったらしい。ただ隣のクラスだから、知識として存在は知っている。それくらいの関係。
でも彼らは恋人同士になった。
告白されて、断る理由がなかったからという、どうしようもない理由で。
それだけでもう、溜息が出る。この子の感覚はさっぱり分からない。
どうして好きでもない人と、付き合えるんだろう。どうしてほとんど見知らぬ人と、付き合えるんだろう。私には分からない。
だけど二人は仲良くやっていったらしい。本当のことかどうかはわからないけど、ナツはあまり嘘は言わないから、多分事実なんだと思う。
海に行ったり、学校に忍び込んで花火をしたり、バスケットの試合を見に行ったり、手を繋いだりと普通の恋人同士だったという話だった。
「とても好きだった」
そう呟いて、幸せそうに笑いながら、彼女は続けて言った。
「だけど別れた」
その理由を聞くと、ちょっと遠い何処かを見つめ、彼女は小さく笑った。
楽しさの欠片のない、何かを諦めた笑い方で。
「振り返って、気づいて、戸惑ったら、すれ違ってた」
だから別れたんだ。
そう呟いて、ナツは天井を仰いで見せた。
けれどきっと、彼女の視線はその向こうの空を見つめているのだろう。
いつだって、この人はどこか遠い場所を見ている。
だからきっと、視線がすれ違ってしまったのだと、思った。
そんなことばかりが、どうしてか気になって仕方がない。
しばらく前、ナツの昔の彼氏の話を聞いた。
隣のクラスのバスケ部の子で、顔と名前は知っている程度の仲というか、別に知り合いでもなんでもなかったらしい。ただ隣のクラスだから、知識として存在は知っている。それくらいの関係。
でも彼らは恋人同士になった。
告白されて、断る理由がなかったからという、どうしようもない理由で。
それだけでもう、溜息が出る。この子の感覚はさっぱり分からない。
どうして好きでもない人と、付き合えるんだろう。どうしてほとんど見知らぬ人と、付き合えるんだろう。私には分からない。
だけど二人は仲良くやっていったらしい。本当のことかどうかはわからないけど、ナツはあまり嘘は言わないから、多分事実なんだと思う。
海に行ったり、学校に忍び込んで花火をしたり、バスケットの試合を見に行ったり、手を繋いだりと普通の恋人同士だったという話だった。
「とても好きだった」
そう呟いて、幸せそうに笑いながら、彼女は続けて言った。
「だけど別れた」
その理由を聞くと、ちょっと遠い何処かを見つめ、彼女は小さく笑った。
楽しさの欠片のない、何かを諦めた笑い方で。
「振り返って、気づいて、戸惑ったら、すれ違ってた」
だから別れたんだ。
そう呟いて、ナツは天井を仰いで見せた。
けれどきっと、彼女の視線はその向こうの空を見つめているのだろう。
いつだって、この人はどこか遠い場所を見ている。
だからきっと、視線がすれ違ってしまったのだと、思った。
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