『遠い世界』

2004年11月13日
 元の世界へ帰れなくなった。

 びっくりした。
 今年の春から、日常が大きくかわった。魔法や馬鹿みたいな力や武器に触れ、なんとなく笑いが止まらない日々が続いた。でもそれはいつか終わるんだろうと、思ってた。
 その予想は当たったけれど、大きくはずれた。
 あの不思議な世界へいけなくなるのではなく、もといた世界へ帰れなくなるとは。
 それでも不思議と、笑いは止まらなかった。

 結局のところ、自分はどこにいても同じなのだ。
 たった一人の半身がいないのならば、どこにいたって同じ。何もかわらない。寂しくもなければ痛くも悲しくもない。同じ。いつだって。
 燦々と太陽の光が、青い空から落ちてくる。眩しいほどに、青い空。
 その空を見て、ふと思った。
 この世界に来て、初めての感慨。

 どこに行っても、やっぱり空は夏のまま。

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