近づくゼロ。

 貴方の頬を撫でながら、いつだって思っている。
 いつか訪れる、終わりのことを。
「目に見えるサヨナラばかり」
 忘れたくても、見せつけられる別ればかりが、どこかにずっと巣食っている。
 このまま時間が過ぎ去って、時間が止まったように、世界が回ることを望みながら、その輪廻が崩れることを私は望んでいる。
 いつまでもいつまでも、言葉を亡くしたまま、眠り続ける人の側にいられると信じている傍らで、さっさと流れを断ち切って、すべて終わってしまえば良いと感じている。
 それはきっと、永遠に続くカウントダウン。

 かさかさと風に乗って、流れていく命は二人とも同じモノ。
 けれど今の量は明らかに違ってしまった。あの子の元々少なかった残量が、耐久力を亡くした体からどんどんこぼれ落ちてしまっているから。
 あの柔な体はきっともう、命をとどめておけないのだ。流れ込んだ栄養を消化しても、そのエネルギーは命を燃やさない。
 ただ一瞬、線香花火のように小さく輝き、そしてあっという間に散っていくのだ。
 切ないまでに。
 穴だらけの、命の殻はきっともうぼろぼろ。

 元のカタチに戻れないことは知っている。
 毎日、毎日、同じではいられないことも知っている。
 だけど、どうしようもないことだって知っている。

 ゼロが訪れたとき。
 私がどこかへ行かねばならないことだって、悔しいけれど知っている。

+ + + +

 終わらないカウントダウン。

 まるで頬を撫でられているかのような、柔らかい空間で、私は微睡み続ける。
 いつまでも終わらない、この空虚な世界。
「目に見えない言葉ばかり」
 答えもない。気持ちもない。意識もない。心もない。白くて透明で、何もないようで、すべてが存在する世界が私のすべて。
 このまま時間が過ぎ去って、時間が止まったように、世界が回ることを望みながら、その輪廻が崩れることを私は望んでいる。
 いつまでもいつまでも、言葉を亡くしたままで、私を儚く待ち続ける人の傍らから離れ、さっさと流れを断ち切って、すべて終わってしまえば良いと感じている。
 それはきっと、永遠に終わらないカウントダウン。

 さらさらと流れる時間とともに、あの子から消えていくモノはただ一つ。
 丈夫な体に守られて、生命力だけは人一倍。けれど穴だらけな、心の薄皮。見えないところでひびが入ったカップのように。
 それはもう、あの子の気持ちを一つだって、守ってはやれない。ただ諾々と、流れた込んだ気持ちが、消えていくのを見届けるだけ。
 哀しいまでに。
 零れてしまった、いつのまにかぽろぽろと。

 元の関係に戻れないことは知っている。
 毎日、毎日、終わりへと向かわねばならないことも知っている。
 それが、どうしようもないということも知っている。

 永遠が訪れたとき。
 私がどこかへ逝かねばならないことだって、悔しいけれど知っている。

+ + + + + +

切ない30の言葉達
http://purety.jp/moment/30w.html

29 カウントダウン
30 永遠

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