『夕立』

2005年5月15日
 広げていたシャツを棚に戻したところで、私はふと顔を上げた。
 高い天井を叩きつける、いくつもの雨粒の音が聞こえた。

 すでに一通り見終わってしまった店内は、なんとも張り合いがない。どこを見てもつまらない上、時間を過ごすことさえ苦痛に感じられる。
 けれど外の雨を見れば、他にどこにも行けないことがわかる。
 何がそんなに難いのかと尋ねたくなるほど、雨粒は力強く大地を叩きつけている。ざあざあと音を立てながら、世界に斜線を引いているのだ。
 外に出たい気持ちを抱えながら、自動ドアの前に立ちつくし、私はその光景を見つめていた。

 来たときと同じように、急に雨は上がった。
 微かに小雨が降る野外へ出ると、強い日差しが私の肌を焼いた。
 夕立で汚れを洗い流された世界に、真っ直ぐに伸びる日差し。
 そこには紛れもない夏の気配がした。
 呼吸も出来なくなるほどの、熱がどこからか生まれ、私の心を僅かに焦がした。

 見上げた空は、どこまでも続く青だった。

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