血に塗れても美しいと、あの子は言ってくれた。
溜息と共に。
自慢の赤い髪が、更に赤く染まっている。風に吹かれ、その中の一房がべたりと頬に張り付いた。ぬめる感触を振り払い、頬を手の甲でぐいと擦ると、そこもまた赤く染まった。
身体から離れようとしない赤を、無理矢理引き離すことはとうに諦めていた。仕方なしに視線をあげると、怯えた瞳でこちらを見るあの子がいた。
意地悪く「何?」と尋ねると、細い身体をびくりと震わせる。
それから項垂れるように俯き、次に顔をあげたときは、怯えなど忘れたような顔をしていた。
ただ、諦めにも似た感嘆の表情を浮かべ、
「どうして、そんなにも貴方は美しいの」
ぽつりと、哀しげに呟いた。
貴方の側にいられないことくらい知っていた。
貴方を悲しませることくらい知っていた。
これ以上ないほど、自分が赤いことだって知っていた。
白い人よ。
溜息と共に。
自慢の赤い髪が、更に赤く染まっている。風に吹かれ、その中の一房がべたりと頬に張り付いた。ぬめる感触を振り払い、頬を手の甲でぐいと擦ると、そこもまた赤く染まった。
身体から離れようとしない赤を、無理矢理引き離すことはとうに諦めていた。仕方なしに視線をあげると、怯えた瞳でこちらを見るあの子がいた。
意地悪く「何?」と尋ねると、細い身体をびくりと震わせる。
それから項垂れるように俯き、次に顔をあげたときは、怯えなど忘れたような顔をしていた。
ただ、諦めにも似た感嘆の表情を浮かべ、
「どうして、そんなにも貴方は美しいの」
ぽつりと、哀しげに呟いた。
貴方の側にいられないことくらい知っていた。
貴方を悲しませることくらい知っていた。
これ以上ないほど、自分が赤いことだって知っていた。
白い人よ。
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