一時、私は神だったのよ。
 この世界を作り上げる三柱の内の、一柱。何でも出来たし、何でも思いのままに操ることができた。けど、私という意志はどこにもなかったから、何かをしたいと思うことも、あんまりなかった。
 大体、神だっていったって、民衆がいなきゃ、生きていけない。私も同じで、おかしな行動をとれないように、がんじがらめに縛られてた。嫌になっちゃう。
 けど、私は神よ?
 そんなものに縛られる訳ないでしょう。私の名前は縛られない物。囚われない物。

 こっそり隠れて、他の二柱と連絡を取るくらい朝飯前。
 そうやって、私たちは一つの計画を練った。この世界を毀す計画を。

 神様の気まぐれだなんて言わないでね。
 私たちはいつだって真剣だった。いつだって真剣に、真面目に、この世界を毀したいって思ってた。
 砂の城を造り直したい、なんてことは言わない。毀したかった。完膚無きまでに毀して毀して毀したかった。そうして、神という立場から解放されたかったし、民衆を解放してあげたかった。

 計画は成功した。当然ね。神に人は逆らえない。頑張って抵抗してたみたいだけど、私達が三人揃えば、何にだってなれるし、何にだって負けない。そう、教えられたもの。人間だった頃に。
 ああ、神の前は、人間だったの。もう、ほとんど覚えていないけど。懐かしいな。
 話が逸れたね。
 私達は世界を毀した。管理者とか、そういう立場をぶち壊した。特権階級をかさにする、あの馬鹿げた誰かの心を殺すために。

 でも、世界が壊れたら私達も生きていけない。まぁ、元々生きてなんかいなかったけど。
 だからね、さよなら。
 最後に話ができてよかった。なんだか、こういうラストって人間みたいで、良いと思わない?
 私は思うよ、すごくね……。

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