『夢の跡』

2004年6月10日
 目を覚ますと、薄汚れた天井がぼんやりと光っていた。
 朝が来たらしい。

 大して柔らかくもないベッドで休んだせいか、身体が少し痛い。軋んだ骨を伸ばすように、身体を反らせ、一つ欠伸を漏らした。
 それから零れた涙を拭おうとして、気がついた。

 頬を涙が伝っていた。

 欠伸で零れるような物ではない。それとは比べものにならないくらい、暖かくて、冷たくて、ぐっと心を締め付ける涙。
 それが気づかないうちに流れ出していた。
 原因は分かり切っていた。夢のせいだ。

 だけど。
 なんの夢を見たかだなんて、口に出したくもなかった。
 もう二度と会えない本当の家族達のことは、心の中だけにしまっておけばいい。
 そう、思った。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索