彼女を好きだったのかと聞かれたら、イエスと答えるだろう。
彼女を嫌っていたのかと聞かれたら、イエスと答えるだろう。
けれど、彼女を憎んでいたのかと聞かれたら、言葉に詰まる他ない。
狂気に染まった血の色の瞳、迷うことのない刃の軌跡、命を葬り去る躍動感、生きることを忘れた気怠げな平穏、壊れた微笑みと血に塗れた唇。
あの迷わない心に、誰もが戦き、嫌い、憎みながらも、強く弾かれた。濃い影の向こう側に、強い光があるように。誰もが溺れた。
結局は、自分もその一人だったのだと思う。
炎に引き寄せられ、羽根を焦がした蛾のようなもの。
死の瞬間まで、彼女が彼女らしくあったことを、微かに嬉しく思う。
それと同時に、やっと死んでくれたと心から思う。心から、その死を悼みながら、祝福したい。
もう何かに急かされるように、誰かを殺すことも、自分の命を探し回ることも、血を浴びることもしなくて良いのだと思うと、そんな気分になるのだ。
本人に言ったら、鼻で笑われるだろうが。
未だに思い出すのは、赤すぎる瞳と低い声。
そして誰かの命を奪う後ろ姿ばかり。
彼女を嫌っていたのかと聞かれたら、イエスと答えるだろう。
けれど、彼女を憎んでいたのかと聞かれたら、言葉に詰まる他ない。
狂気に染まった血の色の瞳、迷うことのない刃の軌跡、命を葬り去る躍動感、生きることを忘れた気怠げな平穏、壊れた微笑みと血に塗れた唇。
あの迷わない心に、誰もが戦き、嫌い、憎みながらも、強く弾かれた。濃い影の向こう側に、強い光があるように。誰もが溺れた。
結局は、自分もその一人だったのだと思う。
炎に引き寄せられ、羽根を焦がした蛾のようなもの。
死の瞬間まで、彼女が彼女らしくあったことを、微かに嬉しく思う。
それと同時に、やっと死んでくれたと心から思う。心から、その死を悼みながら、祝福したい。
もう何かに急かされるように、誰かを殺すことも、自分の命を探し回ることも、血を浴びることもしなくて良いのだと思うと、そんな気分になるのだ。
本人に言ったら、鼻で笑われるだろうが。
未だに思い出すのは、赤すぎる瞳と低い声。
そして誰かの命を奪う後ろ姿ばかり。
コメント